一部のカメラレンズが白いのはなぜ?

白いレンズの謎

なぜわざわざレンズを白くする?

本来カメラ本体やレンズは黒いもの。

オリンピックや甲子園といったイベントの映像では大砲のようなサイズの白いレンズが並んでいるシーンを見かけます。

今回はなぜ一部レンズ、特に望遠レンズで白いレンズが多いのかを解説します。

白い外装で熱対策

カメラレンズだって熱がこもれば具合が悪くなる。

望遠レンズが白い理由は、太陽光によりレンズ内に熱がこもるのを防ぐためです。

特にカメラレンズは焦点距離が長くなりつれてサイズ大きくなる傾向があります。

そのために特に望遠レンズほど光を浴びる面積が広くなり、陽光の熱を受けやすくなります。

そこで熱を吸収しやすい黒い筐体ではレンズ内部が更に高温になりやすいのです。

特に望遠レンズは屋外で使うことがほとんどですし、サバンナや甲子園のような炎天下で使うこともかなり多い。

レンズだって精密機器、高温になれば誤動作や故障が起こる確率が高くなります。

そこで、レンズを白くすることで日の光を反射させ、少しでも熱を吸収しづらくしているのです。

じゃあ全部白にしてしまえばいいのでは……?

なぜカメラレンズは黒い?

なぜカメラレンズは黒い?

そんなことなら「 カメラレンズは全部白くしてしまえばいいのでは? 」なんて思う方もいらっしゃるでしょう。

普通のレンズが黒いのは別段カッコよさを求めてではなく、ちゃんと実践的な理由があってです。

レンズやカメラ本体の写り込みや余計な反射による色被りを防ぐため、光を反射しにくい黒にするです。

カメラやレンズは黒い方が写り込みにくい。

上の写真は以前私が仕事で撮った写真で、まだちゃんと処理をしていない状態のもの。

黒い部分に何やらわちゃわちゃと肌色が移り込んでいるのが私の手です。

カメラも一緒に移り込んでいるんですが、黒っぽいので目立ちません。

これが白いレンズだったらそのまま全部写り込んでしまっていたはずです。

この場合はどちらにしてもPhotoshopで消すつもりでいたのでまだいいのですが、写り込み方によっては加工、処理するのも非常に難しいもの。

ガラスなんかに薄く映り込もうものならもう泣くしかありません。

こういった写り込みはあらゆる被写体でありえるので、可能な限り反射しにくく写り込んでも目立ちにくい黒がベターなのです。

ただ、200mmを超えるような望遠レンズは被写体との距離が十分には離れるため、レンズやカメラ本体が反射し写り込む心配はほぼありません。

そこで熱対策を優先して白くしているのです。

白のCanon、黒のニコン

望遠レンズだからといって全てが白いワケではありません。

むしろ、あえて白くしているのはCanonさんくらい。超望遠レンズでも黒いカラーリングを採用しているメーカーがほとんどです。

こういったレンズが最も目立つのはやはり世界的イベントであるオリンピックでしょう。

2年ごとの夏冬のオリンピックで白レンズの割合が増えたか黒レンズが増えたか減ったかで、その時々でCanonとニコンのどちらの支持が大きいかをうかがい知ることができます。

(最近はSonyのシェアもかなり伸びてきていはいるものの、プロカメラマンの間ではまだまだCanonとニコンが主流です)

なお、オリンピックや甲子園などのイベントでは白いこともあってCanonの白レンズが目立つのですが、戦場カメラマンでは白レンズを使っているカメラマンは少ないです。

単純に戦場カメラマンの間ではニコンの方が人気なこともありますが、大きな白い望遠レンズを使っていると目立ってしまい危険な点も要因の一つです。

白いカメラレンズ まとめ

  • 白い望遠レンズは主にCanonのもの。
  • 炎天下など屋外での使用時の熱対策として陽光を反射しやすいようレンズを白にしている。
  • 本来一眼レフ用のカメラレンズは被写体への色被りや反射などの影響を考慮し、マットな黒がベター。
  • しかし望遠レンズであれば被写体との距離が十分とれて反射や色被りなどの影響が出にくいので、白でも特に問題ない。

ちなみに白いレンズが全部が全部、Canonの望遠レンズのように実践的な理由があって白いわけではありません。

一眼レフの中でも入門機クラスのものやミラーレス一眼など、一部のカメラではファッション性のために本体やレンズが白いこともあります。

率直な意見としては被写体への色かぶりや写り込みなどドラブルの元でしかないので、わざわざ黒以外のレンズを選ぶことはあまりオススメはしません。

が、別段プロなわけでもないしそこまで細かく気にしなくても良いでしょう。

むしろ本人が気に入ってる方がモチベーションが上がって良い写真が撮れることも多いかと。

あまり気にしすぎて写真やカメラそのものが好きでなくなったら元も子もないので、あまり気にし過ぎるのもよくないでしょう。