【地震・防災用品】被災者に聞いた非常持ち出し袋・必須備蓄品と小技
地震に台風に大雨。天災による被害が増えており、心配な方多いのではないでしょうか。
私もそうしたことが心配だったのですが、少し前に天災の被災経験者の方たちと知り合う機会があり、
「 まずはなにが必要でどう備蓄しておくか、どういったものがあると便利かの知識をもっと広めるべき 」
と語っていらしたのが印象的でした。
今回はその経験談を元に、特に地震や天災による停電・ガスの供給停止・断水などライフライン切断が起こったときに備えて備蓄したいもの、代用できるものなど知っておきたいことまとめました。
小銭&現金の備蓄を忘れずに!
停電が起きればATMも動きません。しかし、食品など必需品を買い足すには現金が必要になってきます。
非常持ち出し袋などに現金を1,000円札や小銭など細かいお金で用意しておくことをオススメします。(持ち出し袋が重くなってしまわない程度に)
停電によりレジが動かない + 混雑により「 お釣り出せません 」状態で営業したお店もたくさんあります。災害時、特に1万円札は使えないと思ってください。
実際の経験談として「 お釣りはいらないから売ってくれ 」と言っても「 いや、それは困る。とにかく小銭を用意してきてくれ 」と断られ、一度帰宅してまた行列に並び直し……との話がありました。
これは小さいお店に限ったことではなく、実際に2018年9月6日北海道で起きた震度7の平成30年北海道胆振東部地震際にも停電が起き、大型ショッピングモールでも「 お釣りは出せません 」と貼り紙がなされていました。
自販機もつり銭の補給が追い付かずお釣りが出ないために購入できないことも考えられます。特に電子マネーやおサイフケータイ、クレジットカードなどキャッシュレス決済をメインで使い、現金をあまり持たない方は必ず非常持ち出し袋を持っておきましょう。
冷蔵庫・冷凍庫は開けなきゃ結構もつ
停電になると冷蔵庫・冷凍庫の中身が腐らないかが気になるところですよね。
実は今どきの冷蔵庫は密閉性・保冷効果が非常に高いため、停電しても中の温度は簡単には下がりません。
もちろん徐々に冷たさは失われていきますが、冷蔵庫内の温度が上がる一番の原因は開け閉めにより冷気が外に出ること。なるべく開けずに、どうしても開けるときはなるべく短時間で済むようにしましょう。
当然、より冷えている冷凍庫の方が長く冷えた状態を保ちます。冷蔵庫に入っている生ものや腐りやすい食材ですぐ食べないものは冷凍庫の方に移しましょう。
や保冷剤があれば冷凍庫や腐りやすい食材の周りに置くとさらに保冷効果が上がります。製氷室など小さな冷凍スペースがある場合はうまく使い分けることでより長くもたせることができます。
当然ですが、可能な限り腐りやすいものや賞味期限・消費期限の短いものから消費していきましょう。
保冷剤は停電により冷房が使えないときには身体を冷やすにも使えます。保冷剤は100円均一ショップで売っているので、冷蔵庫内にスペースがあれば用意しておくといいでしょう。
普段からケーキや洋菓子なんかを買ったときについてくる保冷剤などは取っておくのもいいでしょう。
計画停電の前に氷を作っておく
2011年の東日本大震災のときには実際に行われ、2018年に北海道の平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震でも取りざたされた電力不足による計画停電。
計画停電がくる場合、「 可能な限り冷蔵庫を開けないようにする 」にくわえ、事前に氷を多めに作っておく小技があります。
その氷を冷蔵庫や冷蔵庫内に入れることで庫内の温度低下を緩やかにすることができます。
ただ、溶けると冷蔵庫内がびちゃびちゃになるので、ジップロックなど密閉できる袋に入れるとよし。ジップロックがない場合はフタをあけたタッパやコップ、深めの皿などに入れるだけでも大丈夫。
特に夏場では停電すると冷房も使えず、非常に危険です。その点、氷は体や物を冷やすのにも使えるし、溶かせば飲み水にもなる優れもの。
大地震など突発的な災害はともかく、計画停電など事前にわかっている停電のときには多めに作って冷凍庫に貯めておきましょう。
ラップは断水時に超便利
断水時など、水を節約したい状況においてラップは非常に便利な道具です。
例えばラップを皿の上にしいて使えば皿を洗う必要がないうえ、ラップを使えば手が洗えず不衛生な状況でもおにぎりを握ることも可能です。
ほかにも出血を伴うケガをしたときは上から巻いて圧迫止血するにも使えるなどなにかと重宝します。
一般家庭で自宅でラップがない!ってことはあまりないかと思いますが、避難所などに移る際には時間的・荷物に余裕があれば家にあるラップももっていきましょう。収納スペースに余裕があればラップも少し多めに備蓄するのもいいかと思います。どうせ使うものですし。
パスタは水でも調理可能
多少時間はかかりますが、パスタはお湯を使わず水でも調理可能です。
やり方は簡単で、パスタをペットボトルなど水に入った容器に入れて2時間程度浸けておくだけ。(実際時間はパスタの太さによって要調整)
ソースを作るには多少火を使った方がおいしく出来上がるかと思いますが、少なくとも麺をゆでる必要がないのでガスの節約になりますね。特にカセットコンロを使っているときは大事なガスを節約したいところ。
もちろん、ソースを工夫すれば全く火を使わずにパスタを作ることも可能です。(冷製にはなってしまいますが)
カップ麺やインスタント袋麺も水で調理可能
実はカップ麺やインスタントの袋麺も水で調理が可能です。カップ焼きそばも湯切りならぬ水切りを行うことで、同様に作って食べられます。
水に浸ける時間は一般的なカップ麺で15分ほど、カップうどんなど時間がかかるものは20分程度が目安。
ガスや電気が止まったときでもあきらめず食べましょう。
袋タイプのインスタントラーメンの場合は袋にそのまま水を入れ、時間をおけばオッケー。器があれば使ってもいいですが、袋を利用すれば節水になります。
いずれにしてもお湯に比べスープ粉末が溶けにくいのでよく混ぜてから食べましょう。
また、袋に入ったインスタントラーメンはそのままで結構食べられます。
ちょっと硬いですが、スープの粉をかける量で味を調整しつつボリボリと食べてしまいましょう。
(実はインスタント麺をスナック感覚で生で食べるのは、韓国では割と一般的なんだそう)
カップラーメンの生食も可能っちゃ可能ですが、かやくなど具材がちょっと……なので、どちらかといえば袋インスタンドラーメン向きな方法です。
ただ、この方法には喉が渇くデメリットがあるので水分補給には注意。
また、インスタント麺やカップ麺は意外と賞味期限も長くはないため非常食として備蓄するには微妙です。
長期戦に備える非常食は別に備蓄し、カップ麺類はお湯が沸かせない状況でも食べられる方法がある、程度で考えましょう。
停電したら水が出ない!
いまは水道も電気で汲み上げるのが一般的で、停電すると水も出なくなるので注意。
突発的な停電ではどうしようもありませんが、天災がきた最初は大丈夫でもあとから停電となることもあります。
すこしでも怪しいと感じたらお風呂のバスタブに水を貯めておきましょう。お子様用のビニールプールなどあればそちらにも。実際に東日本大震災で被災された方によると、ビニールプールは長期の断水時に雨水を貯めておくにも重宝したそう。
あまり考えたくはありませんが、ライフラインの寸断が長く続くと雨水の利用も考えないといけない場合も考えられます。
バスタブやビニールプール、増してや雨水なんて飲み水としては衛生上微妙でも、後述するトイレ用水などとして使えます。
水は捨てるのは簡単なので、貯められるだけ貯めておきましょう。
トイレに注意!
一般的な便器はレバーをひねればすぐ流せるよう、タンク内に一回分の水を貯めてあります。なので、停電して水が出なくなっても一回だけは流すことができます。
が、停電時は水が出ないためタンクに水を貯められず、二回目以降は流せなくい仕組みになっています。こうなったら備蓄してある水で流すしかありません。
※流すボタンがリモコンタイプ、貯水タンクがないなど停電すると1回も流せないタイプの便器も増えています。
バケツなどで水を運んで流しましょう。もしタンクのフタが開くなどタンク内に水を入れられるようであれば入れてレバーをひねる正規ルートで流すのもいいでしょう。
便器がタンクに直接水を入れられないタイプだったり入れる方法がわからない場合は、便器内に直接流し込むのも有り。
まず水を流し込み、汚物を下水へ流し込みます。ある程度勢いがないと流れないので一気に流し込んでやるのがコツ。(はねない程度で)
そのあと、もし便器内の水位がいつもより低いようなら、いつもの水位になるまでゆっくり少しずつ水を入れてためます。
便器は水でふたをしているので、水位が下がったままだと下水の臭いが逆流します。いつもの水位まで水をためておくことを忘れずに。
バケツとビニール袋を用意
水を貯めるのはいいけどどう運ぶんだ、って話ですよね。そんなときはバケツやビニール袋があると非常に便利です。
バケツは水を運ぶ以外にも、ビニール袋を張って簡易トイレとして使うこともできます。洋服をなどポンポン入れておくなど、簡易バッグにもなります。
なお、普段のゴミ出しに使うビニール袋は半透明のものが多いかと思いますが、中身が見えない真っ黒のビニール袋も重宝します。
人に見られたくないプライベートなものを隠すなどにも使えますし、バケツにかぶせて簡易トイレにするときは中身が見えないものがオススメ。半透明だと片づけるときに……なので。
また、ビニール袋は足に巻いて長靴代わりにしたり水を貯めて置いたり、大き目のビニール袋なら加工してレインコートをつくったりと、近頃多い大雨や川の氾濫など水害系の災害でもいろいろ使えます。
なんと、ゴミ袋は普段からゴミをまとめて入れ、捨てるときにも使えます。目からウロコですね。←
小さなレジ袋から45L~90L程度の大きいゴミ袋まで災害時にも通常時にも大いに活躍するので、家にもある程度備蓄しておくことをオススメします。
布タイプのガムテープが活躍
特に災害時、ガムテープはなにをするにも重宝します。普段あまり使わない方はイメージがわかないかもですが、ガムテープはなにをするにも優秀なヤツ。
壊れたものの応急処置、仮設テントの仮止め、ビニール袋でポンチョや長靴を作るなどなど。ホントなににでも使えます。
津波による水害被害の大きかった東日本大震災のときには被災地で大量に使われ、一時は日本全国から品薄になるほどでした。
特に布タイプのガムテープがオススメ。
紙タイプのガムテープ(いわゆるクラフトテープ)は重ね貼りできない・水に弱い・破けやすいなどの弱点があり、災害時に使うには向きません。
ちなみに白っぽい・緑っぽい・青っぽくて布目が大きいガムテープは養生テープといって引越しなどで家具や壁を保護するために一時的に貼るもの。粘着が弱くはがれやすいので災害用の備蓄としてはあまりオススメしません。
布のガムテープがベストです。アメリカにお住まいの方はダクトテープをどうぞ。
ちなみに、普通に売られているベージュっぽい布ガムテープよりもさらに耐水性の強い防水タイプもあるので、備蓄用としてはそちらの方がオススメ。
アルコールティッシュ・ウェットティッシュで節水
ベタですが、アルコールティッシュやウェットティッシュは何かと重宝します。
経験者によるといくらあってもたりないとのこと。足りなくて困ることはあっても多くて困ることは絶対にないので、多めに備蓄しておきましょう。
水の節約やもちろん、普通にティッシュやトイレットペーパーの代わりにもなります。特にアルコールティッシュは衛生面でも優れており、ケガの消毒から食器拭きまで広く使えて重宝。
基本的にはウェットティッシュよりもアルコールティッシュの方が使いやすいですが、使い分けられるに越したことはないので余裕があれば両方用意しましょう。
ウェットティッシュは後述のおしり拭きでも可。
携帯トイレ・おしり拭き
災害時や避難時など、常にトイレが使える状況とは限りません。いざというときのために携帯トイレは必須です。
私は非常持ち出し袋にも備蓄していますし、渋滞対策として車にも常備しています。
また、おしり拭きもあると非常に便利。ウェットティッシュでも代用できるようで逆におしり拭きがウェットティッシュの代用になります。
用途的におしり以外に使うのに抵抗を覚えるかもしれません。が、本来赤ちゃんのおしりを拭くためのもの。当然清潔だし、その辺のウェットティッシュよりも肌に優しいです。
特にウォシュレットがないとダメな人にはおしり拭きは必須と思ってください。
おしり拭きは水に流せる点が最大の特徴。「 トイレはあるけどトイレットペーパーがない 」なんて最悪。
持ち出したりするにはトイレットペーパーはかさばりますし、そもそも災害時に一番不足しがちな物資がトイレットペーパーです。たとえ買い占めがおこってもおしり拭きがあれば安心です。
持ち運ぶ余裕がない大事なものは金庫に!
災害が落ち着き復興がはじまったあとに困るのが、印鑑や通帳、保険の証書、さまざまな権利書など「 非常時の優先順位は低いけれどなくなると困るものの消失 」です。
実際に被災された方にも、家が崩れて印鑑に通帳にキャッシュカードまでなくしてしまいすぐにお金を下ろせず困ったなんて経験談や、パスポートが見つからず再発行したなんて経験談も。
そうした方たちが口々におっしゃっていたのが「 頑丈な金庫にしまっておけばよかった 」こと。
実際に自宅兼事務所をお持ちだった方は、家事によって自宅側の大事な書類などはすべてダメになったのに、金庫にしまっていたため事務所の仕事書類は無事だった、なんて話も。
金庫に入れたからといって絶対安心とはいえませんが、タンスなどにしまっておくよりは圧倒的に安心できます。普段の防犯にもなるので、余裕のある方は耐火タイプの金庫を用意しておくといいかも。
豆知識:LPG(プロパンガス)はガス網が寸断されても使える
あまり自分でどうこうできることではありませんが、裏技というか豆知識的なところでご紹介。
大地震を含む震災・天災により都市ガス網が寸断されても、LPG(プロパンガス)であれば問題なく使うことが可能です。
LPGはガス管を通ってくるのではなく建物に直接プロパンガスのガスボンベをつけて利用します。
なので、ボンベに問題がなければガスが残っている限り利用可能です。高い料金で評判の悪いLPGの数少ないメリットですね。
ただ、そうそう切れるものでないとは思いますが、道路の状況によっては普段通りガスボンベ交換できない可能性もあります。無限に使えるわけではないので注意。
天災の多い日本では実は結構大きいメリットかもしれません。
まとめ:【地震・防災対策】被災者に聞いた非常持ち出し袋の必須備蓄品と小技
実際に震災や大雨による水害に遭った方にお話しをうかがう機会に恵まれ、貴重な経験談を聞くことができました。
まさに活きた教訓でしたが多少特殊なケースも多く、すべてを羅列するには時間がかかるため、ある程度整理してまとめました。
やはり大事なのは事前の備え。正しい知識が自身や家族、周りの大切な人々を救うこともあります。
地震・台風大国の日本。どんなに技術が進歩しても起こってしまうのが天災です。過去の例から学び、少しでも被害を抑えられるように備えておきましょう。
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